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Channel: 梶山徹夫の『愁思符庵日記』
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『希なる七草粥』

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昨日の胃カメラのダメージと寒さから少し立ち直った暖かい朝(7日)。
胃を空っぽにして、カメラでつつき回したせいか、空腹感が何時になく強い。
「せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ」と春の七草を思い出しながら起き出す。
七草粥を食べる朝だが、昨日のスーパーで七草粥セットを売ってるのを見たが、我が『愁思符庵』の米はヴィンテージものだから、粥には何とか向きそうだが作る元気はない。
正月の松の内も今日で終わる。
ご近所の立派なお飾りも今日でお役目御免となる。

イメージ 1


今日は立川競輪鳳凰賞典決勝である。
昨日の無気力な参戦に懐も痛んだが、今日の決勝で辻褄を合わせれば、明後日(9日)からの中山競馬3日間開催に弾みも付こうかと言うものだ。
今日は知人武道家と元会社役員が立川に参戦と先日の金杯帰りに話がまとまった。
武道家は競輪が長いが、元会社役員は麻雀を除いての趣味はクラブ馬の所有で、馬券も余り買わないし、競輪はズブの素人である。
長年会社役員をやって、下戸でもあるし余りヤクザな趣味はなかったようだ。
退職して3年あたり経つ筈だが、博打屋のような人種は異星人の類いだろう。
しかし、勤め人が突如毎日のルーティンワークを失うと、それなりの自己喪失感を味わったと言う。
その意味で麻雀以外の博奕の味わいを知ることも、見過ごしてきた時間の奪還と言えぬでもない。
そう言い聞かせて、麻雀仲間の知人馬主を含めた3人が、臍繰り三昧の元会社役員を悪の道に誘い込んでいるわけだ。
しかし、どっこい狸と博打屋が呼ぶように、本人は慎重な会社人間の規範からはそうそうはみ出さない。
まあ、それがその人のアイデンティティーと言うものだろう。
昨日(6日)の寒さと、工事中の立川競輪場の不自由さを考えると、3人で観戦するには特別観覧席が必要と博打屋は考えていた。
初日に出向いた時には立ち見券しか買えず、それでも外の混雑からは免れた。
昨日は到着が遅く売り切れており、今日の決勝は更に売り切れが早いだろうと顔見知りの私服保安が言っていた。
日差しが戻った今日(7日)だが、混雑する外ではビギナーの一人が戸惑うし、下手に付きまとわれてもこちらの商いに支障が出る。
そう思い早出して特別観覧席を買い求めに立川に向かった。
そもそも、今の立川競輪場は工事中で不便極まるのに、例え50円の入場料を取ることさえおこがましいと思う。
ましてや、バックスタンドの僅かな指定席も300円と言う安さだが、本来なら開放すべきスタンドだ。
席も古く狭いし、一席300円だから一人が隣分を買い占めても600円で済むので、少ない席はすぐ売り切れる。
一人5席まで買えるので尚更完売が早くなる。
そんな事情が分かっているので七草粥どころか、飲まず食わずで出向いた。
幸い残り僅かで3席確保して、まだ1Rの気配もない場内に暫し休息を求めた。
2人には席確保を連絡し博打屋は午前中を立川市内に戻り時間潰しするつもりだった。
しかし、場内で朝飯を食べると1Rの選手が出てきたので、荒れるのは初日同様1・2Rと読み臨戦態勢。
しかし読みは良かったのだが、これまた初日同様惜しい外し方で3万円車券をポロリと逃がした。
朝一からこんなに飛ばしては決勝まで持たないと、ブログの書き残しを書いたりして時間を潰した。
昼前に2人が現れた。
博打屋の早出に気を使ったか、予定より早い来場だ。
立川競輪場が初めての元会社役員は場内散策に出掛けた。
博打屋と武道家はポツリポツリと手を出していたが、余りパットしない戦果。
レースが後半になった頃元会社役員が戻って来てレースに初参加。
馬券の買い方が分かるので車券の買い方も分かりが早い。
特に最近、車券のマークシートも馬券と同じく、フォーメーションは1・2・3着どの欄も何点でも買える。
今までは、何れかの欄かは1点しか買えなかった。
高齢者が多い競輪ならではの点数増加での間違いを規制したのだろう。
しかし、マークシート慣れをした頃でもあり、馬券などで学習した爺さんたちに、もう良かろうと切り替えたのであろう。
博打屋も何枚に分けて買わずに済むので楽になった。
そんな説明をしながら、元会社役員に馬券と同じく、3車ボックスやら、フォーメーションでの100円単位買いを勧めていた。
すると手始めの7Rを素直なラインボックス買いをし、いきなり3000円車券をゲット。
本人はこれで負けのない戦いと喜んでいた。
博打屋と武道家は大物狙いに走り苦戦していたが、武道家は10Rの神山の1本被りの裏を狙い、車単3500円を押さえ少し持ち直した。
惜しむらくは3連単50640円を逃した事だが、前のレースも取り復調気配で決勝を迎える事になった。
博打屋は8Rの6010円で負け止まりをかけたが、9・10Rと外して11R決勝に懸けた。
決勝前の10Rが始まる時、博打屋が自分の車券を見直すと、3枚の内の1枚が11Rとなっていた。
あれっ、レースを間違えて買ってしまったと2人に話した。
その10Rは結果的に外れであった。
幸いに生き残った間違い車券は11R1-3-9のボックス100円単位600円分だ。

イメージ 2


これは博打屋が10Rを検討した際、神山が負ける事もありそうで、別線の山形・渡邉の四国ライン9-3とのボックスに保険をかけておいた車券だ。
博打屋が参ったなぁ~取り替えるかなぁ~、でも、これが来ると高いしなぁ~
と呟いていると、元会社役員がその車券100円分売ってくださいよと冗談を言う。
すると武道家が、そのままにしてた方が良いですよ、僕も買いますよと言い出した。
博打屋は新田の優勝を願っていたのだが、万が一、新田が不発なら十分有りうる1番脇本、3番平原、9番原田のボックスである。
別に600円は捨てたと思って残そうと思っていたが、2人が200円ずつで3等分にしましょうよと言い出す。
まあ、これが間違って当たれば座興としては面白いし、帰りの飲み代にもなる。
そう言う成り行きから、元会社役員は小銭が180円しかないところを武道家に20円借りて、武道家が合わせて400円博打屋に寄越した。
博打屋は3日間の走りから、今節は新田、脇本、平原から優勝が出るものと考えていたので新田中心で車券を買った。
武道家は平原・脇本の裏表車単に前のレースの浮き分を全て投入、飲み代は残しませんと牽制する。
元会社役員は会津出身だから新田で買っていた。
早い夕暮れが立川バンクを包んだが、レースは4車並んだ地元を含む関東ラインと新田、原田の自力型の争い。
1番脇本だけは単騎で動向が注目された。
バックスタンドの我々の前を最終の攻防が過ぎたとき、単騎の脇本が最後方から猛然と追い上げ、先に抜け出す平原を捕らえかかると、その外から原田がまとめて交わしてゴールした。
博打屋は9-1-3とゴールしたのが分かったが、元会社役員は9番車の帽色紫が黒の新田に見えたようで一瞬喜んでいた。
武道家は勝負車単が2・3着であることにガッカリしていた。
しかし、博打屋が、おい、あのボックスで一番高い配当になったよと言うと、2人とも思いだし、あっ!当たりだわと大笑い。
梶山さん、車券あるでしょと言われ博打屋が自分の車券の中を探すと1-3-9ボックス車券が見当たらない。
嘘っ!と博打屋も焦った。
これで無くしていたら何を言われるか分からない。
あちこち探すと、コートのポケットから問題の車券が出て来てホッとした。
それからが大騒ぎ。
博打屋が払い戻しに行くと、41090円の配当だった。
皆、笑いが止まらずどうにもならない。
皆で1万円ずつ分けて、残り11090円は飲み代にしましょう、足りなければ我々が払いますと武道家が笑う。
博打屋も何ともドラマチックな事があるものだと、夕闇迫る立川バンクで始まった表彰式を見ながら、皆、原田君に礼を言いなさいと言うしかない。
武道家が調べていた蕎麦屋を探す道々、予て博打屋が見かけていた飲み屋があり、皆が入ってみようと言うのでその店にした。
当然、皆笑いが止まらず何を食っても旨い旨いの連発。
そりゃそうだ、飲み代は安心、おまけに1万円ずつ配当金。
元会社役員に至っては180円で1万円を手にしたのだから笑いが止まらない。
新春一番の福来るだと〆にうどんや麦茶漬けなど食べて支払いをすると、何と計算したように12000円であった。
なんだ、俺には1円も釣りが残らなかったじゃないかと、また大笑いである。
帰りながら元会社役員が、恐らく梶山さんは帰ってからジワジワと大損こいた事が悔やまれるに違いないよと冷やかす。
当たり前だ、帰らなくても既にゴールした瞬間からしまったと思ってたわい!と答えながら立川を後にした。
笠間稲荷に参拝の知人馬主は贔屓の原田から買っているはずと皆の予想は当たっていたが、本人は56通りだから博打屋達の6通りには叶わないわと連絡があった。
博打屋は結局、今年の鳳凰賞典は少し持ち出しになった。
いや、本来ならプラスで明後日(9日)からの中山に向かえたものを、まあ、これも素人を一人迎えたが故の幸運、いや、ありがた迷惑と思うしかない。
武道家には、暮れのグランプリで貰った香典代わりのご祝儀を返した事になる。
「七草粥」こそ食べられなかったが、初笑いをさせてもらったので、良しとすべき鳳凰賞典であったか、そう思うしかない。



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