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Channel: 梶山徹夫の『愁思符庵日記』
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『花散らしの雨』

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雨音が聞こえ、室内は光も届かず、起き上がる気力も失せる(13日)。


いつもの気だるい週明けだが、この雨では出掛けるのも億劫で、全休日余儀なしと寝起きの紅茶を飲んでいた。


日本列島は強い寒気と暖気に挟まれ、大気の状態が不安定になっている。


時ならぬ雹、霰、竜巻など起こりやすい状況だ。


その予報通り寒い1日となった。


ボッーとしながら昨日一昨日の競馬の回想にふける。


一昨日(11日)は薄氷を踏む思いの最終レース的中で、その日の一喜一憂を全て無かったことにし、少しお釣りを頂いて帰宅した。



昨日(12日)はそのお釣り分をその日の資金にと、何時ものように胸ポケットに入れて来るのを忘れ、駅で乗り越し清算の時に気付いた。


一瞬どうしようかと戸惑ったが、鞄の中の財布に予備のお金が入っているのに気付き事なきを得た。


しかし、朝から馬券は微妙な外れ方。


桜花賞に至っては、3連単しか買う意識がなく、3連複の保険と言う発想が何処かに失せていた。


せっかくモニターを見てレッツゴードンキの良さを見つけていたので、3連複は買えたレースだった。


配当が良かっただけに、3連複も捨てたもんじゃない。

その後悔が最終レースにも尾を引き、前日のように土俵際のうっちゃりは効かず仕舞い。


肩を落としての帰途となったが、前日(11日)中山1Rツウローゼズで待望の未勝利脱出をし、その足で福島に転戦した知人馬主が福島から帰途についていると言う。



上野で一杯やろうとなり、博打屋は帰り道で少し待つようだったが、6時過ぎ馬主と落ち合った。


中山から上野と福島から上野では1時間位違うが、上野駅構内のいわゆる駅ナカ店を物珍しく見ていると、時間はアッと言う間に過ぎた。


めったに上野駅構内を探索する機会はないが、昨日(12日)改めてその様子を知った。


特に新幹線入口と共に常磐線や宇都宮線など、幾つかの線の始発着のホームに至る広場には、長い上野駅の歴史を見るようだった。


しばらくホームを背にベンチで過ごしていたが、日曜日の夕刻でもあり、北関東、東北方面へ帰る人らしき姿が増えてきた。


中には列車を背景に自分撮りしている人も多く、ここが東北方面への玄関口であった事を思い出す。


博打屋がこの駅から夜行急行で旅立ったのは2度の記憶が残る。


最初は大学生時の太宰治『津軽』の追随旅。


2度目は八幡平・乳頭の山歩き温泉旅。


今は無き夜行急行「八甲田」だったか「十和田」だったか。


それ以外、この上野のホームを使ったのは、近年常磐線でいわき市方面から帰った時位か。


ベンチから見上げると、ホームを被う屋根と、駅構内の建物の間には壁はなく、ポカリと大きな外への空間があり、鳥避けのネットがはってある。


吹き晒しの状態だ。


新幹線の出来るまでは、このホームが主役だったし、その古さが偲ばれる。


『ふるさとの 訛なつかし 停車場の 人ごみの中に そを聴きにゆく』


石川啄木の歌碑があるのに気付く人は少なかろう(写真)。


上野での酒席は、福島の出走馬不振は仕方ないとし、前日の中山勝利があるのと、本人が桜花賞を取り、土日の馬券収支に辻褄を合わせた事で盛り上がった。


立場は違うが、同じ歳だから思う事が似てきたか、意外な事を馬主が言う。


会社は既にきれいに身辺整理をしてあるし、やる気のある社員に譲る話しはしてあるそうだ。


社員を養う責任がある人なら何時でも譲ると言う。


そうなったら、予て社員にも公言しているように、四国巡礼の旅に出たいのだそうだ。


しかも、本格的に白装束のお遍路さん姿で歩くと言う。


聞いていて嘘だろ、この男の日頃から、何処に「同行二人」の境地があるんだよ、と驚きながら聞いていた。


しかし、馬主は大真面目に言うし、博打屋にも行こうと誘う。


話がお互いの長い付き合いから、人生も残り時間を逆算する歳になった等の話しに及んだ事から、馬主がポロリと常日頃見せなかった心情を吐露したと言える。



ふ~ん、四国巡礼ねぇ~、いいよいいよ、何時だって付き合うよ、と博打屋も予て希望のお遍路だけに話を合わせた。


しかし、それにはなにがしか金がかかるから、もっと稼がなきゃならんし、博打屋にも貯金をしろと言う。


しかし、白装束でと言いながら、四国には幾つか競輪、競馬、競艇場があるから、そこで金を作りながら回れば良いと言う。


何処に本意があるのかは分からないが、年末年始は毎年オーストラリアでカジノ三昧していた男のセリフとも思えない。


確かに、我々は残り時間を考える歳になった。


終わりを幾つにするかでその年数は変わる。


しかし、幾つに想定しても、たかだか知れている。


その事に馬主はいささかの戸惑いを覚えたのではなかろうか。


博打屋は話を聞きながら、とある奥さんが、旦那を評して「歳が一番良い薬なのよ」と皮肉って言っていたのを思い出していた。



この男にもその言葉が当てはまるのかもしれない、と思わせるほど、残された時間を見つめようとしている。


そんな前夜(12日)を思い出していたら、以心伝心か馬主からメールが入り、今日(13日)は千葉競輪と京王閣だろ~と寝た子を起こす。


巡礼の為には金がかかるからねぇ~、頑張ってよ~と言う。


自分は暖かい社長室場外で稼ぐと言う。


そのメールに一念発起、冷たい雨をついて京王閣に出向き、千葉競輪を見た。


手始めは8Rで首尾良く3-9-4,7230円を取り敗けのないスタート(写真)。


馬主も取ったと同時進行。


しかし、9R1460円と言う固い車券をあえて避けた博打屋は外し。


馬主は手堅く押さえたと言う。


10Rは更に固いレース。

海老根・江守・阿部9-1-5,810円で決着(車券)。


馬主も押さえたと言う。


11R特選は大塚で更に固いと馬主メール。


しかし、人気の大塚も根田もコメントは体調一息と弱音。


案の定レースはぐちゃぐちゃで、稲村・和田圭・萩原孝之で158500円の大波乱。


さすがにお互いに声なし。


冷たい雨が降り続け止む気配もない。



京王閣ナイターが始まっていたが、大荒れのスタートのようでファンのため息ばかり。


博打屋は貯金を目減りさせたのでナイターを切り上げと考えていたが6・7Rにガールズが組まれていた。


今開催は山原さくらと奥井と言う抜けた選手がいる。


倍々ゲームならここかと見ることにしたが、いかにも安い配当に悩むのも切ない6・7Rだった。


6Rは山原が勝ち3連単380円の2番人気。


7Rは奥井が勝ち3連単330円の1番人気。


博打屋はどちらも外し手持ちを更に減らした。


馬主も倍々ゲームには失敗したようだ。


敗けのない闘いが、敗けになりそうなので、寒い京王閣を後にして帰宅した。


京王閣の桜はこの花散らしの雨ですっかり落ちてしまった。


道々の木々の花も雨にうたれて落ちている。


痛み分けに近い1日だったが、いつか心置きないお遍路旅が出来るだけの稼ぎをしなければならない。

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