見るからに寒そうな朝の雨だが、早朝梨園主から電話があり、またお願いしたいが今日は雨だからと言う。
先週断った後に、市の技術センターの担当者から今日(7日)の梨園への同行を求められ、実状確認する予定は入っていた。
その予定の変更かと思ったのだが、担当者から予定通りの訪問確認の電話が入った。
雨の中、担当者の車で出向き話を聞いた。
梨の花は既に満開に近く、剪定も完全とは言い切れない。
職員がどの作業から人手が必要になるかと確認すると、今年は花粉付けもしないから摘果からで良いと言う。
摘果なら今日明日の問題ではないが、結局20日から始めたいと言う。
一応、博打屋が引き受ける事になったが、また要望が変わる可能性もあり大変である。
技術センターの担当者も、花粉付けをしないで摘果は大変だなと案じていた。
今年90歳になろうかと言う園主の事だし、記憶力が衰えるのはある程度仕方ない。
頼りの奥さんが膝を悪くし、余り手伝えなくなったのも今年の遅延の要因でもあるようだ。
梨園の奥さんは殆ど膝を悪くする。
長年に渡る梨棚の下での作業を思うと、尤もな事だろうと思う。
雨に濡れる梨の花を見ながら、先が思いやられるなとため息をつく始末だ。
しかし、90歳になっても定年のない農業は良いと云えば良いし、花粉付けなどしなくても実は付くと頑固な事を言う園主は幸せだ。
高齢と云えば、仕事人・外弟子は一昨日(5日)「傘寿」を迎えた父親の誕生祝いに、お気に入りの恵那・かんぽの宿を用意、今日(7日)親孝行帰省した。
「傘寿(さんじゅ)」と言うのは数え80歳の誕生を祝うもので、傘の字が縦書きの八十に見えることから名付けられている。
基本的には還暦(数え61歳)や古希(数え70歳)・喜寿(数え77歳)と同じく紫色を用いるそうだで、仕事人・外弟子手作りの誕生カードもその配色のようだ(写真)。
しかし、還暦は赤ちゃんに戻るとか、赤が魔除けの色と言う事から赤を使う筈だ。
古希(こき)は「人生七十年古希なり」と詠んだ唐の詩人・杜甫に由来している。
当時の七十歳は大変な歳であっただろう。
喜寿(きじゅ)は喜の字を略すと、七が重なる略字となることから七十七歳のお祝いとなった。
傘寿は上記の通り。
米寿(べいじゅ・数え88歳)は米の字が八十八から出来ていることから「お米の祝い」とも言う。
卒寿(そつじゅ・数え90歳)は卒の略が九十と読める事に依るもの。
白寿(はくじゅ・数え99歳)は「白字のお祝い」とも云い、百の字から一の字を取ると「白」になり、百引く一で九十九となることからこの歳を祝った。
何れも長生きを祝うものだが、よくぞ略字に当てはめた歳を思い付いたものだ。
ヘルニア・オペを控えた傘寿の父親だが、本人気に入りの宿で娘から祝ってもらう祝い酒は格別な味だろう。
主治医にオペ・スケジュールの調整を願っての帰省と言うから忙中閑といえ中々出来る事ではない。
梨園の用件が早目に終わり、ポカリと空いた午後の博打屋。
雨をついて立川競輪準決勝を見に出向いた。
明日(8日)の決勝は所用で観戦出来ないないので、準決勝であわ良くばの商い。
幸い初っぱなの9R,山下渡・矢口啓一郎・古川圭3-7-6、7880円からの負けのないスタート(写真)。
これはひとえに矢口の働きによるライン決着だが、古川がよく3着を確保してくれた。
ホップ成功で迎えた10Rは郡司・村本を狙ったが、絡ませた坂本亮馬の凡走で失敗。
ジャンプになる筈の11Rは神山拓弥一本被りであったが、前日特選を制した池田憲昭が若手久米康平を前に連勝を狙う。
まだプラスの手持ちをどう打つかの悩みが博打屋を襲う。
博奕稼業なんて、所詮この程度の取捨選択や損得勘定に悩む刹那の営みだ。
当てたところで、人生が一変する額でもなければ、またそのような買い方でもない。
しかし、その些少な選択の中にも、博奕に対峙する刹那の葛藤は十分過ぎるほどあるものだ。
他人様から見ると、何を好き好んでそんな葛藤の渦中にと思われようが、そこはそれ、日銭商売を標榜とする馬鹿者の性と理解願うしかない。
結局、ホップだけした今日(7日)の博打屋は、ステップ・ジャンプに失敗した。
好調池田に神山を絡めた車券で、それなりの配当を求めたが、現実にはその妥協が甘かった。
売れ筋の神山拓弥は何も出来ず車券から外れ、池田・久米・西村光太と決着、37890円の高配当となった。
冷たい雨が降ったり止んだりの競輪場だが、桜が惜しくも散り始め、コンクリートの敷地に花を咲かせている(写真)。
正に「花散る賭場」だが、博打屋の小さな博奕も、降る雨に落とされてしまった。