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Channel: 梶山徹夫の『愁思符庵日記』
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『梅縮む底冷え』

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今冬一番の寒気に覆われた朝(10日)。


我が『愁思符庵』は台所以外、玄関を始め部屋の窓は木枠である。


少々建てつけが悪く隙間のある窓もあるのだが、先日ダイソーで隙間防ぎ用品を買ってきて、それなりの対策はしてある。


風が強い夜など、窓がカタカタ鳴るのを聞くだけで、寒さが増すような気分になるが、すきま風はそう入って来るもんではない。


独り聞く木枯らしの訪れは、湯豆腐などを食べていると、つい山頭火ふうに呟いてしまう。


『ぐらぐらと木枯らしに豆腐の騒ぐ』(愁思符庵)


今日(10日)は昨日に続き、近場の賭場がない。


部屋の掃除をして商い先を悩んでいたが、一番手軽なのが新橋のラピスタ。


余り居心地の良い場所ではないが、取り合えずあちこちの場外発売をやっている。


都心の年金オヤジたちの溜まり場には違いないが、暖を取るには都合が良い。



入ってしまえば、博打屋とてそこいらのオヤジと大差ない。


着いてみて驚いたのは、開催中の浜松オートまで売っているではないか。


博打屋の狙いは西武園と和歌山の準決勝。


しかし、ラピスタは西武園、前橋、いわき平、松山4場を売っており、更に浜松オートまで発売中だ。


これには博打屋も驚いた。

ここにいたら、ナンボ儲かるこっちゃとほくそえむ一方、下手に手を出すと痛い目に会うと警戒した。


館内は寒さ凌ぎに逃げ込んで来たオヤジたちで蒸せかえっている。


試しに6階のオートレース売り場に行くと、居るわ居るわオールド・オートファン。


知人馬主にオートならお任せ、と日頃自慢している人がいるので早速連絡。


案の定、社長室と自慢する雑然とした部屋でモニターを見ていると言う。


かくしてラピスタと社長室との情報交換での博奕稼業の始まり。


博打屋はラピスタの4階と6階を往復しながら二足の草鞋をはいて商い。


しかし、西武園準決勝は外れるわ、浜松準決勝は外れるわで手持ちが赤信号。



知人馬主は浜松を連日やっていて、コツコツ増やした電話投票を使い果たしたようだ。


こいつは固いよと言う主力選手がスタートで出負け。



やはり、準決勝ともなると、人気薄選手の一発があり、予選の強さがそのまま通用する訳でない。


博奕はどのジャンルも同じ難しさを持っており、一筋縄でいかない事を思い知らされた。


すっかり打ちのめされた博打屋だが、新橋駅の汐留口から帰途に着くため地下に降りた。



時間が早いので、汐留口から続く地下街を歩いてみて驚いた。


東京に来て45年以上経つが、この地下街に来たのは始めて。


まるで、かつての新橋ガード下を彷彿させる飲食街が健在ではないか。


さすがサラリーマンのメッカ新橋。

弁慶号のある一角しか知らなかった博打屋だが、ビルの地下にもう一つの新橋があるのを知った。



まだ5時前だったが、既に常連で賑わっている店もあり、休日前の銀座の外れ、サラリーマンの街を思わせるに十分な雰囲気。


空商いの博打屋は、昭和レトロの店店を横目で眺めながら、働かざる者飲むべからずと言い聞かせて帰途についた。


寒い日々で帯状疱疹後神経痛がビリビリと灼熱痛を引き起こす。


明日(11日)の休日は何とか結果をださねば、早々と危険信号がともる。



寒気で咲きほころびた梅が固く閉ざすように、博打屋の暮らし向きも、厳寒を迎える。

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