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Channel: 梶山徹夫の『愁思符庵日記』
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『川床や』

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記録のかかる連続猛暑日だが、その5日連続の記録は難なく樹立しそうな朝だった(11日)。


依然、咳き込んで痰が出る症状が続く。


咳はともかく、商いの方は打開策も見当たらず開店休業余儀なしの窮地。


撃って出る訳にも行かず、『俺たちに明日はない』処か「博打屋に今日はない」だ。


今日がなければ明日もないのが世の道理。


乾坤一擲とはこんな時に使う言葉か、とにかく乾坤一擲の一矢を放つしかない。

今日(11日)も1日籠城態勢。


暑さとの戦いだが、こんな時は自己暗示に限る。


昨日の多摩川ではないが、京都鴨川の四条河原の川床にいると思えば良い。


いや、それに飽き足らねば足を伸ばして貴船や清滝に行ったと思えば良い。


四条河原と違い、ここの床涼みは狭い清流の上の文字通り納涼床(すずみゆか)。

両岸から渓流を覆いつくす緑の木立の作る天然の日除けに、床下は清流。


川風が渡り瀬音が静寂を破り涼を運ぶ。


ふむふむ、目を閉じるだけで嘗て床に遊んだ若き日が甦る。


『瀬音にも千年の涼床涼み』(愁思符庵)


この暗示がいささか奇遇を呼んだか、夕方訪れた新代田の知人の喫茶店で若い京都から来た女性と話す機会があった。


道路を挟んで駅の真ん前にある「チェリー」と云う昔ながらの小さな喫茶店で、今となっては希少価値の存在だ(写真)。



マスターの熊谷氏とは古い知り合いで歳も近い。


もう2年近く顔を出していない。


親のやっていた小さな店をそのまま引き継いでおり、14~5人も入れば一杯の店だ。


16時過ぎに入った時には客はいず、マスターは博打屋を見て驚いていた。


やはり今時の店じゃないのかなとコーヒーを待っていたら4人2人2人1人と客が入って来るではないか。


マスター、俺は招き猫だぜと云うと、こりゃ珍しい事なんだと近況の暇さ加減を話す。


嘘だと思ったら明日また来てみてよと笑うばかりだ。


しかし、一気に入って来た客は見事に60代以上のご婦人連れ。


しかも常連さんばかりだそうだ。


確かにこの手の喫茶店が流行った時代の人たちばかりだ。


かしましく小1時間ほど過ごしてどの客も引き上げ再び2人きりになった。


すると珍しく若い女性がドアを開けて入って来た。


博打屋はカウンター前の2人掛けの小さいテーブルにいたので、ドアの外の駅前横断信号を行き来する人が良く見えていた。


その若い子はドアをチラリと見て躊躇なく入って来たのだ。


するとマスターが、あの~後30分くらいしかないのですが~と商売っ気のないことを聞く。


おまけに出来ない物もあるのですが~と念を押す。


しかし、女性はコーヒーだから構わないと言って博打屋の奥に座った。


他に客は居ないので博打屋がマスターに、何と商売っ気のないオヤジ、そもそもこんな若い女性の客だぞ、さっきまでと偉い違いじゃないか、俺なら30分だろうが1時間だろうが、閉店なんて野暮な事は言わないぞ、と冷やかすと、女性も笑って聞いていた。


すると、もう少し早く来れば食べ物もあったんですね、と笑う。


イントネーションが関西だからどちらからですかと聞くと京都から今着いたと云う。


聞くとすぐ近くに「フィーバー」と云うライブスタジオがあるそうで、今日出演のご贔屓の何やらと云う人を聞きにきたのだそうだ。


ロック系のミュージシャンのようだが、博打屋にはさっぱり分からない。


マスターに聞くと、マイナーなミュージシャンのライブスタジオだが、それでもファンが列をなす事もあるそうだ。


しかし、チェリーに入って来るような世代でもなく、隣のコンビニだけが恩恵をこうむっているそうだ。


彼女のように開演前までコーヒーで時間潰しなんて人は希で、確かに遠来の人だから一息つきたかったようだ。


東寺の近くに住んでいるそうで、しばし京都の話しとなったが、先日の仲源寺の『雨奇晴好』の額の話や、それを確かめに行ってくれた京都の平岡君の話などをしているうちに平岡君が連れていってくれた焼きそばとお好み焼きの絶品店を云うと、彼女が何処ですか教えて下さいとなった。



何処ってねぇ、そう言やぁ何時も平岡君任せで行くので地名も店名も忘れた。


急ぎメールで確認したが、開演間近になっても連絡が付かず、彼女には博打屋のブログを教え、今日のブログに書いておきますと伝えた。

焼きそばの店は以前にも紹介した「おやじ」であり東山区大和大路松原。


お好み焼きは「ふくい」で堀川五条を西に行ったところ。


いずれも粉ものにうるさい博打屋が気に入りの店だ。


昨夜、博多に移動した仕事人・外弟子は今朝(11日)の朝食を札幌医大スタッフととり、今日から始まる学会に出向き丸1日人様の発表を聞いて学習に専念したそうだ。


会場は九州で一番大きいコンベンションゾーンのサンパレス。


夜の懇親会は多数の人々との交遊で食べる暇がなかったようで、二次会はチームSと金沢大のダビンチ剛(外弟子原文)とイタリアンだったそうだ。


このダビンチは嘗てテレビで紹介されていたのを見たことがある。


名前を失念したので失礼する。


その後三次会はチームSとグランドハイアットスのカイラウンジで過ごしたそうだ。


何時にないリラックスした時間の様子が伝えられた。


明日(12日)は14時からビデオ演題『吻合MVP』を座長Dr.須磨で行うそうだ。


朝食は福岡大のDr.、ランチは倉敷中央のDr.と充実した1日が待っている。


Dr.天野も明日来福とのことで、福岡の熱気の中で学会らしい空気に包まれているようだ。


博打屋が白日夢の川床をさ迷っている頃、福岡では現代医学の先端を語る叡智の川床が用意されている。

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