心配された抜歯の痛みもなく、明け方から読書と浅い眠りの繰り返し(28日)。
口の中の舌触りの喪失感はまだあるが、慣れればそれなりの感触に変わるのだろう。
取り損ねた昨日の7万円車券は月末目前の博打屋にダメージを与えたし、眼鏡は修理に出したとしても一月はかかる。
口の中の喪失感が一番早く消えるかも知れない。
『名にしおはばいざ言問はむ都鳥我がおもふ人はありやなしやと』
今日は「業平忌」。
在原業平は平安初期の歌人で六歌仙の一人、825年から880年を生きた。
古典を真面目に学んだ人ならこの辺りは記憶にあるか。
『伊勢物語』のモデルとも言われている。
言問橋の名の元になったり、都鳥と言う呼び名から東京都の鳥としてユリカモメが指定されたのもこの業平の歌による。
しかし、この歌の都鳥がユリカモメとされたのは、『伊勢物語』で書かれた特徴から推定されたもので、ミヤコドリと言う鳥は別にいる。
ミヤコドリ科のミヤコドリと、カモメ科のユリカモメは江戸時代以前は総じて「都鳥」と呼ばれていたようだ。
この歌の解釈で博打屋は長らく思い違いをしていた。
「都という名を背負っているならいざ質問しよう、私の想う人はそこに健在でいるのかどうか」
と言う歌の意だが、博打屋は「名にしおはば」を単に「あの有名な」と解釈していた。
「名にしおはば」を「名に背負わば」と理解しておけば、都と言うたいそうな名を付けられた鳥よ、と問いかけた業平の気持ちもよく分かる。
博打屋も恐らく古文の時間居眠りでもしていたのだろう。
それでいて、「名にしおう」と日常的にも使ってきた。
有名さを現すには便利な言葉だが、「名を背負っている」のだから、その辺りを見極めて使わなければなるまい。
都鳥はさておき、ツバメが盛んに飛び交い始めた。
近所のマンションの入り口にあっと言う間に二羽のツバメが巣を作り卵を抱いた。
もう一羽が下の塀上で心配そうに見上げている(写真)。
携帯を向ける博打屋を警戒していた。
律儀な渡り鳥の営巣を不粋な事をしてしまった。
26日昼にJFK空港に着いた仕事人・外弟子一行はイタリアからのDr.ジョルジュと合流してミネソタ州ロチェスター入り。
早速、カメラテストを兼ねたシミュレーションを行った。
昨日(27日)は朝9時からRoss術のサポート入り。
昼からプレゼン、夕刻執刀開始となった。
今回は拡張型心筋症だが、新しい試みに挑んだ。
病変部位を切除し、縮めた心臓そのものを背筋で包み込み、小型ペースメーカーを埋め込んで心臓を生まれ変わらせる、言わば心移植の代用。
オペは4時間27分で成功。
3月に行った拡張型心筋症のオペ録画を見直し、無駄な動きのチェックをした成果もあったようだ。
何より、今回は2月から依頼した筑波大研究所と横浜私大による拡張型心筋症のオペ手技、どの部分の背筋の切除がベストかの心筋組織の科学的研究の調査結果に依るところが多かったようだ。
オペにはそのスタッフが招待されたそうだ。
チームSの計らいか。
ともあれ、新たな治療法がチームSとそのブレーンたちの手で切り開かれた事は喜ばしい。
詳しい事はまた後日レポートして貰おう。
喪失感に打ち沈む博打屋は今日(28日)は開店休業。
知人の寺山氏から湯けむりカップ決勝のお礼メールを頂いた。
博打屋の予想を読んで参考にしたそうだ。
当の本人がブレてしまったが、お役に立てて良かった。
西条の方から投稿頂いた。
そんな地の人が読者にいるとは驚きだ。
お酒も有名だが、博打屋には柿の記憶がある。
昭和30年代の八本松の駅風景などご存知ないと想うが、駅の周辺はそれこそ名にしおう松材の集散地。
正確には博打屋は志和と言う地で生まれたそうだ。
未だにその地の記憶はおぼろ気にある。
三つ子の魂とはよく言ったものだ。