春分の日(21日)が近く、金・土・日の競馬3場変則開催に気を取られていたら昨日(18日)が「彼岸の入り」である事を忘れていた。
年に二度ある「彼岸」だから毎年同じ事を書いているが、中日の「春分の日」「秋分の日」だけが休日なので前後を含めた本来の意味を忘れてしまう。
「彼岸」仏事は「春分」「秋分」を中日として前後3日、計7日間行われる法会。
今年は昨日(18日)から彼岸入りし、24日に彼岸明けとなる。
今日は彼岸会2日目。
「彼岸」とは向こう岸と言う意味で極楽浄土を指す。
対して現世のこちら岸を「此岸」と言う。
梵語では彼岸を「波羅密多」と言い、煩悩の此岸を離れ、涅槃の世界に達する事を意味する。
つまり、彼岸会と言うこの7日間の法会で人々は「此岸」と「彼岸」を行き来する。
先祖供養や墓参りもそのひとつだ。
毎年取り上げる正岡子規の句が良い。
『毎年よ彼岸の入りに寒いのは』
今日(19日)ならこの句もピタリだが、昨日の彼岸の入りはこの句を忘れさせる暖かさ。
今日を含め彼岸の入りの寒さを知る日は必ずあろう。
今月2件のオペを控え準備に多忙だった仕事人・外弟子の第1弾が今日行われた。
患者64歳女性。
心室導管中隔欠損閉鎖術後10年、左室流出路閉鎖不全のリオペ。
人工心肺に乗せて癒着狭窄部を剥離切離、結紮閉鎖狭窄部位を含めた弓部大動脈外周をフェルトストリップで補強しながら内胸動脈グラフトを置換。
チームSによるオペで、執刀医はDr.N、前立ちDr.S、麻酔医Dr.U、機械出し仕事人・外弟子の陣容。
困難が予測された癒着剥離だったが、執刀医が2人いるので安心もしていた。
しかし、前回オペ後の予想以上の癒着と、予定していた弁置換、肺動脈弁と大動脈弁の太さの明らかな違いに「どうする、Dr.N!」の緊迫事態。
しばし動きが止まり、術野を無言で凝視。
ややあって、Dr.Sがイタリア語で「ルートスイッチ行けるか?」「出来るか?」と言ったそうだ。
少しかじったイタリア語で仕事人・外弟子が答えた。
「貴方なら!」と。
ルートスイッチとは弁輪を縦に切り開いて太さを変えるテクニック。
一番小さい血管用のメッツェンをDr.Sにパスすると、Dr.Nもすぐに理解。
かくして無事成功したそうだが、カテーテル技術の進歩にも係わらず、狭窄や蛇行などの悪コンディションでカテーテルが使えない症例がチームSに依頼される。
厄介は承知の上だが、久々のフローダウンに緊張したようだ。
それにしても大したアシスタントではないか。
「出来るだろうか?」とイタリア語で問うDr.Sに対してイタリア語で「貴方なら!」と答えたつもりだが、術後判明した事によると「君なら!」と言う単語であったそうだ。
まあ、君なら出来る!には違いなかったのだから良しとすべしか。
そんな事よりこの長い難解な病名は何とかならないものか。
一刻を争うオペ前に、こんな長い術式名を唱えて始めるのだから、やがて落語のジュゲムジュゲムになってしまうだろう。
言い終わった時に心臓が止まっていたりして。
結紮閉鎖狭窄部位の結紮とは「けっさつ」と読む。
縫合のことである。
こんな難解な医学用語や漢字が分かるのだから医療従事者も大したものだが、有島武郎の情死となると弱いらしい。
情死を腹上死と解したDr.もいると聞くから愉快ではないか。
仕事人・外弟子の成功裏の1日に比べ、名古屋「日本選手権競輪」2日目京王閣に出向いた博打屋は不成功。
後半3Rの参戦で的中は固く収まってくれた11R。
武田・芦沢の3着探しだったが何処に流しても安い。
しかし武田・芦沢・成田1-4-3,1960円は好結果(写真)。
昨日の分までとはいかないが、連敗を止めた事に意義ありか。
彼岸会に競輪だから「此岸」の煩悩からは逃れられぬ身だが、明日(20日)はも少し何とかせねばなるまい。
『毎年の事よ彼岸に貧乏は』(愁思符庵)