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Channel: 梶山徹夫の『愁思符庵日記』
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『落ち鮎』

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秋晴れの1日と言う天気予報に、安心して朝から洗濯に取りかかった(29日)。
今日は午後からの講習で、ゆっくりと出来る朝だった。
先日天日干しにしたウコンは、器が風に飛ばされてウコンが散乱してしまった。
干からびた小刻みのウコンが散らばっていたので、拾い集めてまた干した。
しばらく見かけなかった先住猫が、ウコンを干した段ボール箱の上で寝ているので、あるいは猫がひっくり返したのかも知れない。
猫にウコンは猫に小判と同じことか。
午後、武蔵小杉に出向いた。
高層ビルラッシュのこの町は、新旧の商店が混在して面白くなっている。
おそらく新宿西口一帯の高層ビル群の足元で、したたかに広がる飲食店街と同じ賑わいになるのだろう。
その商店街を歩きながら講習に向かう。

『落ち鮎の行方たづねる猟師かな』

一昨日市場の魚屋を覗くと、鮎を並べた棚に、今年の鮎の最後の入荷ですと貼り紙がしてあった。
そうか、最後の鮎かと寂しくもあったが、これは養殖鮎だろう。
天然鮎は今が「落ち鮎」の時期だろう。
川で一夏を過ごし、産卵を終えた鮎が川を下って行く時期で、「さび鮎」などの言葉もある。
さて、誰の句だったかなと思いながら歩いたが、「落ち鮎」と言う響きが何となく哀れにも思う。
「落武者」のイメージが重なるのか。
正確には川を落ちるのではなく、下るのだから「下り鮎」でなくてはなるまい。
しかし、古典では「落ちひばり」「落雁」などと、「落ちる」が多く使われている。
「落ちる」と「下りる」は混同されて使われてきたようだ。
この混同は思わぬ笑いを誘う。
福島県の一部では「下りる」を「落ちる」として使うようで、駅のアナウンスが「落ちる方がシンでからお乗りください」と言うそうだ。
「済んでから」が「シンでから」に訛っただけで、アナウンスに間違いはない。
博打屋は結構鮎が好きである。
焼いた鮎を上手に頭ごと骨を抜くのを、旅館の中居さんが手際よくやるのを見て、おお、これが上等な食べ方かと昔思ったものだが、博打屋としては、鮎の塩焼きは丸かじりでいきたい口だ。
そうだ、今夜は鮎にしよう。
要約筆記の実習帰りにそう思った。

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