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Channel: 梶山徹夫の『愁思符庵日記』
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『秋の彼岸入り』

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秋の深まりをひしひしと感じる凌ぎやすい朝(20日)。
残暑も昨日までか、今日は薄曇りの1日となった。
今日から彼岸入りとなる。
秋の彼岸は秋分(23日)の前後各3日間を含めた7日間となる。
この期間に各寺院では彼岸会の行事が行われる。
昨日(19日)は正岡子規の命日であったが、彼岸と子規の句は関わりが深い。
彼岸は春秋2回あるが、歳時記では一般に彼岸と言うと春の彼岸を指し、秋の彼岸は秋彼岸、後の彼岸などと呼ぶ。
子規の春の彼岸の句では
『毎年よ彼岸の入りに寒いのは』
が有名だが、秋彼岸では
『梨腹も牡丹餅(ぼたもち)腹も彼岸かな』
がある。
しかし、この句には疑問に思うことが博打屋にはある。
梨は季節柄分かるが、牡丹餅は春に使う名称ではないのか。
秋は「お萩餅」とすべきではないか。
これは「牡丹餅」と「お萩餅」の違いについてのことだが、春の彼岸の餅は牡丹に因んで牡丹餅、秋の彼岸の餅は萩に因んでお萩と呼ぶと教わった。
同じお餅だが、そう呼び名が違うと記憶しているが、その区別そのものが違うのだろうか。
彼岸と言う言葉は川や海の向こう側の意味。
仏教では煩悩の海である「この世」にたいして、修行の果てにたどり着く「悟りの世界」をあらわす。
春秋の彼岸の中日には太陽が真東から上り、真西に沈む。
夕焼けがあかあかと染まる西の方角は仏教では阿弥陀如来のおられる極楽浄土の方向とされている。
そこで、極楽往生を願って春秋の彼岸に仏事が行われるわけだ。
博打屋も今日(20日)からの1週間は、煩悩の海から脱したい。
「暑さ寒さも彼岸まで」と、空を見上げながら早朝藤沢まで出向いた。
今日は「盲ろう者通訳・介助員養成講習会」3回目である。
9時過ぎに藤沢に着き、マクドナルドでコーヒーを飲みながら30分ほどテキストの予習をして出向いた。
今日は盲ろう者のコミュニケーション3・4で、点字・指点字、音声による方法を学んだ。
講師は何れも、盲ろう者ゆりの会の人で盲ろう者である。
点字の仕組みと指点字通訳の基本を学んだが、博打屋は指点字と言うのは初めて経験する。
盲ろう者の講師だから、手話での講義を手話通訳が音声化する。
さらに講師には触手話が付き教室の様子を説明する。
13名の講習生の他に、次の講師やゆりの会会長が後ろで講義を聞いているので、それぞれに2人の通訳者が付き、音声通訳をしている。
講習生の一人はろう者の女性で、その人には2人の手話通訳者が対面して付いている。
講師がレジュメを作って来ており、それに沿って講義が行われる。
講習生の半数は点字や指点字の講習経験者で、多少の心得はあるようだが、博打屋は初めての経験だ。
指点字と言うのは、通訳する人が盲ろう者の両手に自分の手を重ねて、左右の人差し指、中指、薬指の3本を使い、盲ろう者のそれらの指の爪の下辺りを打つ方法だ。
パーキンスブレーラー型とライトブレーラー型があるが、点字タイプライターと同じ方法のパーキンスブレーラー型が一般的だと言う。
配列は左右縦に3つのマルを想定すれば分かりやすいが、左が1・2・3、右が4・5・6となる。
これは読む側の点字配列で、書く側は左右逆となる。
指点字もこの配列で、左の人差し指1で1度叩くとア、左人差し指と中指1・2を同時に叩くとイ、左右の人差し指1・4を同時に叩くとウ、左の人差し指と中指、つまりイの打ち方と右の人差し指1を同時に叩くとエ、左中指2と右人差し指4を同時に叩くとオとなる。
以上が五十音の基本となる。
以下、カ行の場合は母音の配列アイウエオをベースに、右薬指6が全てに入る。
こうした1から6までの組み合わせで通訳する方法だ。
良くできたものだと感心するが、頭と指の体操のようで、瞬時に一文字を打つのは相当な熟練を要するだろうと気が遠くなる。
しかし、これらは盲ろう者通訳には必要な技術となる。
音声通訳と言うのは、全盲や弱視、難聴者に有効な通訳の方法である。
難聴には伝音性と感音性、混合性があり、伝音性難聴は外耳道のふさがりや鼓膜の炎症などが原因となり、感音性はメニエル病、突発性難聴、老人性難聴などが要因となる。
混合性難聴はその両方が要因となる。
補聴器や人工内耳などで矯正するが、補聴器には音を大きくするだけの機能しかないものがあり、限度もある。
人工内耳は有毛細胞の働きを機器で代用するもので、かなり効果的と言う。
盲ろう者の講師だから、音声通訳・介助者に対する要望は多く、具体的な話を交えての講義であった。
コミュニケーションの方法は幾つもあるのだなと、考えさせられた。
昼過ぎに講習を終わり、藤沢駅前の地上通路の広場ベンチでしばらく休んでいた。
近くに人の気配がしたので横を見ると、ベンチ下の側溝の溝、グレーチングを持ち上げ、男がタバコの吸い殻を漁っている。
短い吸い殻を拾い上げ、袋に入れて次に移動して行った。
嗚呼、秋だなぁと空を見上げたが、今にも降りだしそうな空だった。

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